地域通貨コール体験を通して

NPO法人地域循環研究所 木島麻友香

いきいきふれ愛祭初日、私は「一般の人でも地域通貨『コール』の体験ができる」ただそれだけを信じて長崎から大牟田にやってきた。朝9時にもならないうちから人影少ない商店街を通り、目的地「人の駅 よらんかん」のあたりをうろついていた。

メールをくださった「古庄さん」という人の名前を出せばなんとかなる。そう思ってよらんかんの中に入ったものの、中は準備作業でごった返し、古庄さん本人もいない。

やっと会えた!と思ったら、その日の古庄さんはとっても大忙し。古庄さんの車椅子のあとをひたすらついて回ってNPOのことや地域通貨の話を聞いて歩く。その傍で中学生、高校生と思われるボランティアスタッフの方が古庄さんの指示を仰ぎながら動いていく。  

私も負けじと何かしたくなったが、これと言って何も協力できなかった。私がやったことと言えば、花を植えて2コールもらったこと、F1電動探検ラリーで道に迷ったこと、「『匠の技』漬物コンテスト」で真剣に試食しておいしい漬物を選んだことくらいである。

当日は一日中、雨は降らなかったものの、11月とは思えない寒さであったにもかかわらず、多くの人が商店街を闊歩していたことに驚いた。

各商店街のイベントにはお店を営んでいる方々はもちろん、行政職員の方、NPOスタッフ、中高生のボランティアスタッフ、ケアマネージャーやホームヘルパーの方、そして地域住民の皆さんそれぞれが自分の「できること」を出し合っていた。そうやって地域の皆で作って、皆でまちをよくするきっかけづくりにしていると思った。

今回の私の目的物だった「地域通貨コール」は全国的にとても有名である。古庄さんの話によれば週に1回のペースで視察等があるということだったが、それほど注目を浴びているコールが以外にも地域の人に認知されていない。そして、コールが開始されて1年経った現在、コール長者もコール貧者もいる。

個々のニーズが多様化する中でその受け皿を少数で受け持つのは難しく、また、「使わない=慣れない」ことから「遠慮」の気持ちも絡まって、コールの循環を狭める。ある一定のコミュニティ範囲内に参加者を制限する必要もあるだろうが、今回のコール体験を通して参加者数が増えれば、相互の需要と供給バランスが徐々に取れてくるのではないだろうか。とにかくやってみなければわからないし、使わなければ地域通貨もただの紙でしかない。地域の人にとって使いやすい地域通貨にしていくのはほかでもない、参加者自身であることを知らされた気がした。

お忙しい中、各所で説明して下さった皆様、本当にありがとうございました。


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